向上寺は中国から日本に渡った唐僧・肇澄津師による秘仏の聖観音菩薩を本尊とする。和様を基調に唐様を取り入れた朱塗りの国宝三重塔は、色彩と力強い刻線があいまって強烈な印象。四隅の親柱の飾付けには蓮の花を逆にかぶせた珍しい逆蓮華形も見られる。塔が建つ潮音山からは、瀬戸田水道。平山郁夫が子供時代見下ろした景観が望める。
〒722-2411 広島県豊田郡瀬戸田町瀬戸田57
TEL:0845-27-3377
フタエにあどけない童子の姿。唇はごくわずかに朱色。右手で胸に垂らす飾を押え、左手で天衣をとり、端正に直立する。装身具や衣、台座の縁を特殊な彫刻刀(タガネ)で、丁寧に、丁寧に2個1組の小さな点が並ぶ複連点(フクレンテン)の文様を打ち出す。そうして気品が、醸し出された。—台座の枠、かまちに線刻した各狭間の内部には、墨を塗った痕跡もある。
天武・持統・文武天皇三代に渡る創建の当寺は、玄奘三蔵(602-664)が17年の修行を経てインドから持ち帰った法相宗の大本山。当院には玄奘の頂骨が納められ、壁画殿には平山郁夫画伯の制作30年、高さ2.2m、長さ49mの大壁画「大唐西域壁画」が奉納される。75cm角の天井板が248枚並ぶ壮大な格天井だ。
〒630-8563 奈良市西ノ京町457
TEL:0742-33-6001
本書は大正8(1919)年、和辻33歳の時に出版。「感激による誇張があるにせよ、実感の生なましさが素直に出る。和辻さんの学問を豊潤にしたものが、ほかならぬ、その学者として和辻さんが拒んだものであったことを私(松岡正剛)は信じざるを得ない」。
和辻哲郎 岩波文庫
Tags : 国宝広島県潮音山公園
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